Contemporary Creation 現代作品

フランス南西部、アレスの教会には1970年代にレイモン・ミランドがデザイン
したステンドグラスが施されています。近年夜間にライトアップされるように
なり、一層美しく照らし出される一方で、ステンドグラスがない鐘楼の一角の
暗さが目立つようになりました。
そこで造形芸術家でありエナメル職人でもあるレイモンの息子、クリストフ・
ミランドは、父親に継いで、教会のこの放置された一角を飾る新しいステンド
グラスの制作を依頼されました。
日中は見えないこのガラス窓が、夜間のライトアップによって鮮やかな輝きを
放つように、アマンディーヌはクリストフにガラスの選択について助言し、
彼のエナメル細工の一部をステンドグラスに取り入れることを提案しました。
彼女は吹きガラスの凹凸による色の変化を利用して、リズミカルな構成を
作り上げました。クリストフがこの作品のテーマとした揺れ動く炎を表現する
べく入念に選ばれたガラスが配置されました。

 

 

組立前のカットグラスの色のグラデーションエナメルのクリスタルに反射する光ステンドグラスが配置されると、
その空間が静かに息づき始めるのがわかります。
広場では教会が木々に囲まれ、。
陽の光は揺れる葉をすり抜け、
たゆたう斑点となってガラスに届きます。
屋内では、木々の動きに合わせて色とりどりの光の斑点が現れては消え、
たまゆらのひと時に階段で色が舞い踊ります。
乳白色のガラスは光に照らされオレンジ色を帯び、
不透明な銅板は光を遮り影を作ります。

 

日中は、光を通さない吹きガラスの色は外からは見えません。
乳白色のガラスが<際立ち、
クリストフが銅の上に施したエナメル細工が色彩を添えます。
太陽がエナメルを照らすと、
クリスタルの色がさらにきらめきます。
日が暮れ、内側からの照明が当たると、
日中屋内だけで見えていた色彩を屋外から見ることができます。
明るい黄色が蘇り、
エナメル細工が再び黒い影となります。
この美しいステンドグラスは昼と夜、屋内
と屋外で光と戯れ、彩りを生み出します。
ステンドグラスという絆で結ばれた父と子のひとつの物語から生まれた、
ふたつの様相です。